オペラント条件付けによるセルフコントロール技法である。自律神経系の生理活動を、バイオトレーナーなどの機器によって、視覚的・聴覚的に知的可能な情報に変換し、クライエントにフィードバックすることにより、随意的なコントロールを学習させる。脳波や心拍数、血圧、体温、GSRなど通常は自律神経系が制御している活動を意識的に変化させることによって、神経症や神経症の治療やストレス緩和などに応用されている。自律訓練法の目的が全身のリラクゼーションであるのに対し、バイオフィードバックはピンポイントの身体変化である。
家族を一つのシステムと見なし、個人ではなく家族システムを治療対象とする心理療法である。個人の問題や症状は過去の生育歴に由来するのではなく、現在の家族システムの歪みであると考える。家族間のコミュニケーション様式(家族ルール)に着目し、歪んだ家族システムを健全に機能するシステムへ変容させることを目指す。それゆえ、従来の個人療法とは異なる独自の技法(戦略的技法)を発展させ、ブリーフ・セラピーにも多大な影響を与えた。
ベック、A.Tによって創始された心理療法。認知とは、外界の刺激に対して意味づけや価値判断を行う情報処理を意味する。パターン化され(スキーマ)、通常は意識されない(自動思考)認知の歪みが抑うつなどの不適切な感情を引き越していると理論付けている。治療としては、クライエントが認知的歪みを自覚・修正し、適切な認知、行動パターンの獲得を援助する。抑うつだけでなく、パニック障害や人格障害の治療にも効果をあげている。
元来は精神分析の概念で、患者が分析者に対して、過去の重要な対人関係を無意識に再現した感情を向けることを指す。広義には、クライエントが治療者に対して向けられる非合理的な感情を意味する。肯定的で親近的な感情を伴う転移を陽性転移、否定的で拒否的な感情を伴う転移を陰性転移とよぶ。どの転移を扱うかは治療理論によって異なる。転移は非合理的な感情であり、クライエントの正当な反応とは区別せねばならない。